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2020年9月 5日 (土)

ポルシェ 996 ~ 997 M96エンジン bore scoringの原因 続き





前回の続きです。

Bore scoringシリンダー引っ掻き傷の原因が粗方分かったところで満足していましたが、自分の個体が15kmを超えた事で再度宿題として残していたオイルジェットについて調べる意欲が出てきました。相変わらずですが日本語サイトはヒットしませんね。新規に登場したブログ記事なども見つけましたがやはり油温水温の話ばかり。

ちなみに、プロモデットさんだったかと思いますが、bore scoringしたピストンを並べてくださっていて。見ると1,2,3番はほぼ無傷、それも1番に限ればほぼ新品なレベルでスカートのFMコーティングが残っています。だから油温水温なんだ、と思いたくもなるんですが(実際かなり大きな要因だとは思います)、それにしてもバンク間で損傷が違いすぎませんか、とも思うわけです。油温水温が厳しいのは6番だと思いますが、4番も大体がガッツリ逝ってますよね。5番が無事だったりするのが不可解ではありますが、やはり右バンク特有の何か+油温水温と見るのが妥当と思います。(5番が無事なのは剛性かな・・?)

 

一方海外は流石です。前回紹介したオイルジェット関連に画像付きで言及しているものを見つけました。※ちなみに日本でもみんカラでエンジン組んでる人が居て、オイルジェット単体の画像だけなら見つかります。

Photo_20200905155901  

で、すみません画像だけ保存しちゃったんでリファレンスが思い出せません。確か porsche m96 997 oil jet とかで画像検索して見つけたはずなんですが、今検索しても出てこないです。。ごめんね海外の知らない人・・あとで見つけて貼っておきます。

この画像で全てが説明できるんですが、順に紐解いてみます。

 

まず、シリンダ壁面のオイル供給はどのような流路があるのか。

直列エンジンでは()コンロッドに穴開けて子メタルを流れ終えたオイルがぴゅーっと吹くタイプなどがあるようですが、M96のカチ割りコンロッドを見る限り子メタルにそのような流路は見えないし、コンロッドにも穴は無いように見えます。

SR20L型のように、M96はオイルジェット供給がメインのようです。流路は親メタルの後か単独か分かりませんが、かの有名な籠型のクランクフォロワに設置されている様子。

コンロッドジェットだろうが単体のオイルジェットだろうが、基本的にはピストン冷却用のものと思いますが、クランクとコンロッドが跳ね上げる飛沫よりはシリンダ壁面への供給という意味では役割が多少大きいんじゃないかと思います。たぶん。

 

とは言えこの時点で既にM96は不利なのかもしれません。先述の籠型クランクフォロワがごっつい為、クランクが跳ね上げる飛沫量はかなり少なさそうに見えます。GT3等が使うGT1ブロックではフォロワがシリンダブロック側にある為それなりに隙間があるようです。

 

で、件のオイルジェットですが、素人目にも「え、ほんまにこれなん?」って感じの設計でして。

まずジェットそのもの。クランクフォロワに埋まっててピストンまで遠い上に、ばかみたいに真っ直ぐ刺さってるようです。そしてその位置・・・なんと前回記事で紹介した通りほんまに下の方に付いてます。まじでこんな下なのってくらい下です。オイルを見立てた白い液体でジェットを再現してくれてますが、ほんまに下にぴょろぴょろっと出る感じみたいです。左バンクはこれで良いとは思いますが、右バンクにこれは厳しそうに見えます。

※ちなみにGT3ではオイルジェットが各シリンダに向けて2本あって、しかもノズル式のようです。確か世良さんのブログを漁れば出てくるかと思います。

 

自分も設計ミスするんであまり大っぴらには言えませんがこれはちょっと、、、照査の段階で気づく人間は居なかったんでしょうか。確かに照査というのは人間の信頼関係みたいなものも絡む(その構造が悪)ものですし、そういう事もあるのでしょうけど、かのポルシェ社ですらそんな事があるなんて。

もしくは試験条件が単純運転だったのでしょうか。その場合、シリンダ壁面には最小限のオイルだけが居て欲しいはずです。元々オイル消費する事を前提に設計されたEgとは言え、過度な壁面オイルがあって良い訳ではないでしょう。

 

それにしても、ピストン冷やす事すら上手くいかなさそうな配置です。当時の設計制約や管理項目はどうだったのか、DRの項目は何だったのか、上司や他部署との関係は、など色々気になる事が出てきますね。

クーラント流路設計もミスしてますし、思い起こせばインタミだって問題が起きている訳です、管理試験や心の労働環境が好ましくない状況であった事はほぼ間違いないでしょう。GT3はどうにか踏みとどまったあたり、最後の砦はあったんでしょうけど。まぁ、当時数字悪かったですもんね、ボクスターにM96系積んでしのぐしかなかったのでしょう、そのような数字の強烈なプレッシャーがある中で余裕のあるモデル開発をするのは大変な事です。

そして文字通り品質問題が頻発、インタミですら3回くらい設変入ってますし、しかも車両制御系への適合に伴う電スロ対応など、もう多忙の極みだったでしょう。GT1ブロックを使う頭が残っていた開発部門で直噴用クローズドデッキ左右非対称ヘッドを作っていたのでしょうか、もうええから997後期で積めやそれ、みたいな感じになったんですかね。開発に予算がちゃんと付いていたんでしょう。予算配分は良いですね、それが最後の砦です。

 

カレラ系の設計者は今何をしてるんでしょうね、心を病んでいなければ良いですが。

何にせよ私の個体は15万kmを超えました。友人の3.8Sスーチャ仕様も10万kmを超えています。知人のM96ボクスターは17万kmだったかな。四国の方には23万kmの3.8Sもあるようです。20万kmの996も見た事があります。

ドイツより寒いところでドライスタートしたり、夏の暑い時に東京に行ったりしなければきっと大丈夫です。海外のフォーラムでは読者アンケートで発生率1~2割でした。10万kmを超えた個体はきっと大丈夫なんでしょう。

 

ちなみに東京は本当に注意した方が良いです。

夏の夜の東京に行った事があるんですが、数百mおきに信号が設置されており、常に赤信号に引っ掛かります。そのくせ路駐だらけだったり道の作りがぐちゃぐちゃだったりするので加減速を多用します。こんな中エアコン付けてたら・・・そらポルシェじゃなくてもエンジンブローしますよあれ。加速補正で燃料ドバっと吹いて壁面オイルを脱脂した後にアイドル油圧になる訳で、想像しうる最悪のコンディションです。

 

どうしても夏の東京に行く必要がある方は、信号待ちでヒール&トゥーして油圧を確保してください。アイドル油圧はしっかり監視、酷いと2kとかになってますから。もちろん前車との車間にも気を付けましょう、ポルシェに限らずラジエターやコンデンサは前に付いてます。十分な車間を取るべきです。それから油温もきっちり監視。街乗りのくせに気が付くと110℃とかになってます。上がったら路駐するなりしてクルマを冷やす。とにかく東京はやる事が多いです。そして東京に行ったらオイル交換も推奨の1万5千kmじゃダメですよ、超超超シビアコンディションなんですから、最低でも5千km交換とかになると思います。それらクルマを労わる行為をしなかったポルシェがブローしてるんじゃないでしょうか。

 

ひとまずオイルジェット関連はとても納得したのでこれにて終わり。

あとは材質関連を気が向いたら調べてみます。

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